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Stable Diffusionのライセンス(利用規約)とは?注意点と確認方法を解説

知っておきたいStable Diffusionのライセンス
この記事は約9分で読めます。

※本記事中のイラストは、筆者が「AICE冰可 | KawAICE」および「MeinaMix」のモデルを使用してStableDiffusionで作成しています。

Stable Diffusionで生成したイラストをSNSで公開したり、ホームページに載せたりする人は多いと思います。自分の作品をたくさんの人に見てもらいたいのが人情というものです。

ですが、ちょっと待ってください✋
その行為、ひょっとしたら「ライセンス違反」かもしれません。

らん
らん

え!?なにそれ、怖い…😰

るん
るん

心配しなくても大丈夫です

今からきちんと理解しましょう😊

Stable Diffusionではモデル(チェックポイント)それぞれに「利用する際の約束事(=ライセンス)」があります。「公開時にクレジット表記が必要」「生成した画像の販売は禁止」などの制限があるかもしれないので注意しなければなりません

この記事を読むことで、ライセンスを正しく認識して、トラブルに巻き込まれるリスクを減らしましょう。

この記事はこんな人におすすめ!
  • ライセンスを気にせずにStable Diffusionを使っている
  • ライセンスのことが少し気になっているけど、きちんと調べていない
  • Hugging FaceやCivitaiでのライセンスの確認方法がわからない

今回の記事では、Stable Diffusionのライセンスの基本的な考え方と、Hugging FaceやCivitaiで公開されている派生モデルのライセンスの確認方法について解説します。

なお、筆者は法律の専門家ではありません。本稿に誤りがあったことによる結果について、筆者は一切の責任を負いません。あらかじめご了承願います。

重要な「ライセンス」

「ライセンス」って何?

らん
らん

「ライセンス」って免許のこと?
Stable Diffusionを使うのに免許がいるの?

るん
るん

ライセンスとは、利用するときに守るべき法的な約束事のことです

Stable Diffusionは「オープンソース」として誰もが無償で利用することができます。とはいえ、好き放題に利用していいという意味ではありません

たとえば、図書館は無料で利用することはできますが、テーブルで卓球していいわけはありませんよね?当然、利用者が守らなければいけないルールがあります。

Stable Diffusionにも守るべき約束事(ライセンス)があることをまずはしっかり認識しましょう。

Stable Diffusionのライセンス

らん
らん

Stable Diffusionに約束事があるなんて気にしてなかった!

るん
るん

それも無理もないかもしれませんね。というのもStable Diffusionのライセンスは利用者の自由度がとても高いからです。

現在、Stable Diffusionのさまざまな派生モデルが公開されていますが、まずは大元であるStable Diffusionのライセンスがどうなのかを知っておくことは大切です。

Stable Diffusionのライセンスは「CreativeML Open RAIL-M」と言います。その全文はこちらで読むことができます。

Stable Diffusion XLでは「CreativeML Open RAIL++-M」というライセンスになっていますが、「CreativeML Open RAIL-M」と実質的にはほとんど同じです。
※厳密には「ライセンサーが個人名からStability AIに変更された」「利用者は最新バージョンを使用するように努める”という記述が削除された」などの違いがあります。

全文英語なのですが、日本語訳をしてくださっている方がいますので参考までにリンクを貼っておきます。

CreativeML Open RAIL-M ライセンス 全文和訳(非公式)

「Section I」を見ると、Stability AIがどのような思想・哲学でStable Diffusionをオープンソースとして公開したのかをうかがい知ることができます。

生成モデルは、AIを使ってアーティストが作品を作る方法を革新する素晴らしいものです。
しかし、悪用のおそれもあります。
このライセンスでは、誰でも使えるようにしながら、悪用を防ぎ、責任を持って使ってもらうためのルールを定めています。

CreativeML Open RAIL-M ライセンスをわかりやすく意訳(https://zenn.dev/hases0110/articles/7cff43c5baed7d)」より引用

※正確な理解のためには、原文を参照してください。

詳しくは原文、または日本語訳を参照していただきたいと思いますが、筆者がStable Diffusionのライセンスでポイントだと思う点を抜粋(意訳)して掲載しておきます。

許可されていること

  • モデルとその派生物について、「複製」「派生物の作成」「公開」「配布」「ライセンスの再許諾」をしてOKです。
  • 上記は、全世界で永久に許可されます。これらの権利を誰かが取り消すことはできません。また、あなたがこれらの権利を独占することもできません。
  • 無償です。

禁止されていること(一部のみ抜粋)

  • 適用される国、連邦、州、地方等における法律に違反すること。
  • 未成年者を搾取したり、危害を加えたりすること。
  • 他人の名誉を毀損し、中傷し、またはその他の嫌がらせをすること。
  • 個人を害する可能性のある個人情報を生成または流布すること。

筆者が特に重要だと思うのは、「他人の名誉を毀損し、中傷し、またはその他の嫌がらせをする目的で使用してはならない」という点です。

他のクリエーターの名誉や誇りを傷つけるような目的で、画像生成AIを絶対に使わないでください。
AIを使っていようがいまいが、人間が創造する作品にはそれぞれに唯一無二の価値があり、尊重されるべきものです。

派生モデルのライセンス

らん
らん

Stable Diffusionはかなり自由度の高いライセンスみたいだけど、その派生モデルのライセンスも同じなの?

るん
るん

いいえ、モデルごとにライセンスは異なります

派生モデルの多くがStable Diffusionのライセンス(CreativeML Open RAIL-M)を基本としていますが、モデルごとに追加的な制限が設けられていることも多いです。

したがって、使用するモデルごとにライセンスをきちんと確認する必要があります

Hugging FaceとCivitaiで公開されているモデルで、どのようにライセンスの内容を確認すればいいかを解説します。

Hugging Faceのライセンス確認方法

Hugging Faceで公開されているモデルのライセンスは、下記の画像でピンクの枠線で示した箇所に記載されています。
「creativeml-openrail-m」というのは、Stable Diffusionのライセンス(CreativeML Open RAIL-M)のことです。

Hugging Faceのモデルライセンス
Hugging Faceのモデルライセンス(「Waifu Diffusion」モデルの画像引用)

「Model card」の本文中にもライセンスについて記載されていることがありますので、そちらも合わせて確認しましょう。

Civitaiのライセンス確認方法

Civitaiで公開されているモデルのライセンスは、下記の画像でピンクの枠線で示した箇所に記載されています。

Civitaiのモデルライセンス
Civitaiのモデルライセンス(「MeinaMix」モデルの画像引用)

ライセンス部分を拡大した画像がこちらです。
少しわかりにくいのですが、「ライセンス」と、それにプラスして「制限事項」が別途記載されているという形式になっています。

Civitaiのモデルライセンス(解説)
Civitaiのモデルライセンス(拡大)

a. ライセンス

多くのモデルは前述したStable Diffusionのライセンスである「CreativeML Open RAIL-M」または「CreativeML Open RAIL++-M」が適用されています。
ただし、まれに違うライセンスのモデルもあるので注意しましょう。

b. 追加の制限事項

そして、注意が必要なのが、右の方に書いてあるアイコンです。これは、制限事項を表していて、アイコンをクリックすると、詳細が表示されます。

Civitaiのモデルライセンス(詳細)

多くのモデルはライセンスとして「CreativeML Open RAIL-M」か「CreativeML Open RAIL++-M」を採用していますが、それに追加してさまざまな制限事項を設けている場合があります
というか、ほとんどのモデルに何らかの追加的制限があります。

なので、ライセンスだけでなく、この追加の制限事項もきちんと確認する必要があるのです。

それぞれの項目の意味は、下記のとおりです。

Use the model without crediting the creator
作成者のクレジットを表示せずにモデルを使用すること。ここが❌の場合、画像を公開するときにモデル名を明示する必要があります。

Sell images they generate
生成した画像を販売すること。ここが❌の場合、生成した画像は販売できません。

Run on services that generate images for money
お金を得るためにモデルを画像生成サービスに使用すること。ここが❌の場合、このモデルを使ってお金を得るための画像生成サービスを行うことはできません。

Run on Civitai
Civitaiのオンサイトジェネレーター(「Create」機能)を利用して画像生成すること。ここが❌の場合、Civitaiのオンサイトジェネレーターでこのモデルを選択できません。

Share merges using this model
このモデルをマージ(統合)したものを配布すること。ここが❌の場合、マージモデルを配布できません

Sell this model or merges using this model
このモデルや、このモデルをマージ(統合)したモデルを販売すること。ここが❌の場合、このモデルや、このモデルをマージしたモデルを販売できません。

Have different permissions when sharing merges
このモデルをマージ(統合)したモデルに、このモデルと異なるライセンスを与えること。ここが❌の場合、マージしたモデルに対しても同じライセンスを与えなければなりません。

ちなみに、このような追加制限が何もない場合、このようになっています。

らん
らん

これだと、純粋に「CreativeML Open RAIL-M」ライセンスってことね💡

Civitaiのモデルライセンス(追加制限なし)
Civitaiのモデルライセンス(追加制限なし)

ライセンスを守って楽しいお絵描きライフ

インターネット上のデータは簡単にダウンロードすることができるので、そこにライセンスなどの利用規約があるという意識が薄くなりがちです。

しかし、ライセンスを意識しなければ、思わぬところでトラブルに巻き込まれてしまうこともあります。ライセンスをしっかり確認して、規約を守ってお絵描きを楽しみましょう😊

らん
らん

これからモデルを使うときにはライセンスもちゃんと確認します!

プロフィール
この記事を書いた人
千鳥 るん | Chidori Run

画像生成AIで思い通りのイラストを描くためのノウハウを試行錯誤で模索しています。IT企業でAI戦略に関わっていたこともあるAIエンジニアです。大学生の頃から趣味でイラストを描いていましたが、仕事が忙しくなり一旦筆を置きました。最近、NovelAIと出会ってまたお絵描きへの情熱を取り戻しています。

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