


画像生成AIを使ってイラストを描く(生成する)には、AIに描いてほしい絵を「言葉」で表現して入力します。つまり、AIに「こんな絵を描いて!」と指示するわけですね。
この生成方法は、「言葉(テキスト)」から「画像(イメージ)」を生成するので「テキスト To イメージ(text2image)」と呼ばれます。そして、この「言葉」のことを「プロンプト」と言います。
プロンプトは、英語のときもあれば、日本語のときもあります。画像生成AIにもさまざまな種類(製品)があり、英語のプロンプトしか解釈できないAIもあれば、日本語も解釈できるAIもあるためです。
また、プロンプトは自然な文章で表現するパターンと、「girl, kimono, cherry blossoms」のようにフレーズを並べるパターンがあります。

AI関連のツールや技術解説を見ていると、「text2image」や「text2speech」など、英語の間に「2」が挟まった表記をよく見かけませんか?
これは、英語の「to」を、音が似ている「2(ツー)」で表現している省略形です。ITやプログラミングの世界ではよく使われる表記ルールで、ファイル名や機能名を短く・わかりやすくするための工夫なのです。
つまり、「2」は「to」の代わり。「text2image」は「text to image」と同じ意味です。
さらに「母音を省いて短くする」というスタイルもあり、その場合、「txt2img」と表記されることもあります。


画像生成AIは「プロンプト」つまり「言葉」によって「絵」を生成することが基本です。
ですが「言葉」だけでは描きたい絵のイメージをAIに伝えきれないこともありますよね。そんなときには、AIが絵を生成するときのヒントとして「画像」を入力することもできます。「ラフ画」のようなイメージ画像を入力することで、それをベースにして新たな絵を生成するという方法です。
「画像(イメージ)」から新たな「画像(イメージ)」を生成するので、「イメージ To イメージ(image2image)」と呼ばれます。






画像生成AIは美しい絵を生み出すことができますが、万能ではありません。
画像生成AIの種類によって多少の違いはありますが、一般的に言うと、画像生成AIの「得意なこと」「苦手なこと」は以下のようなことです。
- 多彩な絵柄(スタイル)で描く
- 素早くたくさんの絵を生成する
多彩な絵柄(スタイル)で描く
画像生成AIは「モデル」を切り替えることで、絵のスタイルを簡単に変えることができます。
下の3枚のイラストは同じプロンプトを使っていますが、AIモデルが異なるためそれぞれ独自の絵柄(スタイル)で描かれています。

人間が絵を描く場合、その人に固有の絵柄というものがあるので、なかなかこのように器用に描き分けることは難しいでしょう。画像生成AIを使うということは、何人もの「画家」をアシスタントに雇っているようなものと言えるかもしれません。

自分の好きなスタイルを見つけるのも楽しいよね♪
素早くたくさんの絵を生成する
AIは仕事が爆速なことに加えて、24時間働いても疲れません。非常に細やかな絵であっても数秒で完成しますし、構図やモチーフを変えながら何枚でも生成してくれます。このスピード感はAIの大きな強みと言えます。

万能にも思える画像生成AIですが、苦手なこともたくさんあります。特に以下のようなモチーフは、画像生成AIが苦手とするものです。
- 手や指
- 人工物
- 瞳
- 漫画など複雑な構成のもの
手や指を描くのが苦手💦
近年のAIモデルではかなり改善されてきたものの、一般的に画像生成AIは人間の手や指を描くことが苦手です。指の数が多かったり、おかしな方向に曲がっていたり、ぐにゃぐにゃになっていたりします。

人工物を描くのが苦手💦
画像生成AIは人工的なモノを描くのも苦手です。モノがありえないほど大きかったり小さかったり、構造がおかしかったり、ぐちゃぐちゃになっていたりします。
笑えると言えば笑えるのですが、実際問題として結構困ります。

一方、山や川、植物などの自然物を描くのは上手いです。これらの自然物はもともと大きさもバラバラですし、多少ぐちゃぐちゃでも特におかしくはないからでしょう。
人工物は少しでも不自然さがあるとかなり目についてしまいます。
瞳を描くのが苦手💦
これはAIが瞳を描くのが下手というよりは、「不自然さが目につきやすいのが瞳である」と言った方が良いのかもしれません。
画像生成AIで描いた絵はパッと見た感じはキレイに見えるのですが、細部を見ると不自然なことが多々あります。特にキャラクターの「瞳」は、絵を見たときに一番目がいく部分なので、少しでも不自然さがあると気になってしまうのです。

私は「イメージ To イメージ」を使って漫画を描いたりしていますが、そのときに特に気になるのが「瞳」です。たいていがぐちゃぐちゃっとなっています…。なので、私の場合は、瞳だけは手で描き直しています。
「漫画」など絵以外の要素も重要なものは創作できない💦
「漫画」も「イラスト」の延長と考えると画像生成AIで生成できそうにも思いますが、実際には難しいです。将来的にプロット(あらすじ)を入力すると漫画を生成してくれるAIが登場する可能性もありますが、かなり難しいと思います。
そもそも「漫画」はただ絵を並べれば良いというものではありません。
「世界観」「ストーリー」「キャラクター」「コマ割り」「構図」「セリフ」「描き文字」「効果線」「視線誘導」など、数多くの要素を絶妙に組み上げることで成り立っているからです。
その一部をAIに手伝ってもらうことはできるとしても、すべてを任せることはできないでしょう。仮にできたとしても、すべてをAIに任せてしまったら人間が創作する楽しみがなくなってしまいますよね。


AIにも苦手なことがあるんですね

AIの得意なことや苦手なことを理解してあげれば、きっと頼れる相棒になりますよ♪
AIの得意なところはどんどん活用して、苦手な部分は人間がカバーする――そんな使い方が現実的だと思います。
たとえば、構図のアイデアを広げたいときには、AIで何枚も下絵を出してみる。
また、手や瞳のような繊細な部分は自分で手描きしたり、人工物を描くときは3Dモデルを活用したり、といった工夫が考えられます。
また、AI界隈の技術は日進月歩なので、今は「苦手なこと」でも将来的に「得意なこと」になる可能性もあります。状況を見守っていきましょう。

なんとなくAIイラストのことがわかった気がします!

では次回は「画像生成AIのからくり」についてです♪
AIはどうやって絵を描いてるの?画像生成AIの驚きの技術「拡散モデル」のすごさとからくりを、ざっくり・やさしく解説します!
👇【5/23公開予定】第2回:AIのヒミツ、ちょっとだけのぞいてみよう!

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