もっと本格的にAIイラストをやってみたいです！
ランさんにピッタリな画像生成AI選びから♪
前回の講義では無料で使える画像生成AI「Image Creator」でAIイラストを体験しました。
「Image Creator」はシンプルに使える優れた画像生成AIサービスですが、そのシンプルさゆえにAIイラストを本格的に行うには物足りなさを感じるのも事実です。
- 絵柄をコントロールするのが難しい
- 細かい部分をピンポイントで修正できない
- Image to Imageができない
画像生成AIにはさまざまな製品・サービスがあります。
今回の講義ではあなたにピッタリな画像生成AIを見つけていきましょう。
あなたにピッタリの画像生成AIは？
「画像生成AI」や「AIイラストサービス」にはさまざまなものがありますが、「アニメ系」の画像生成において人気があるのは「Stable Diffusion」「NovelAI」「にじジャーニー」です。
これらのサービスは画像生成AIが脚光を浴び始めた2022年夏～秋に登場したサービスで、多くの人の支持を得ながら現在も進化を続けています。
まずはそれぞれのサービスの特徴を見てみましょう。
Stable Diffusionとは
2022年の夏ごろから、急速に「画像生成AI」が注目され始めましたが、そのきっかけとなったのが2022年8月22日に登場したStable Diffusionです。
その特徴は、誰もが無料で使える画像生成AIであるということです。
Stable Diffusionは「オープンソース」として世界中の誰もがその設計（ソースコード）を見ることができ、自由に使ったり改変したりできます。
そのため、現在展開されているさまざまなAIイラストサービスにも、その裏側にはStable Diffusionが使われていることも多いのです。
まさに「画像生成AI」の礎を築いた革新的な技術と言えるでしょう。
Stable Diffusionには大きく言うと3パターンの利用方法があります。
- ローカル環境：自分のPCにStable Diffusionをセットアップする
- クラウド環境（レンタル型）：借りたクラウドにStable Diffusionをセットアップする
- クラウド環境（サービス型）：すぐに使えるアプリやWebサービスとして利用する
この3つの利用方法は「料理」にたとえるとイメージしやすいかもしれません。
- ローカル環境：自宅のキッチンで料理をする
- クラウド環境（レンタル型）：“レンタルスペース”にキッチンを設置して料理をする
- クラウド環境（サービス型）：器具がそろった“レンタルキッチン”で料理をする
これらの方法にはそれぞれメリットとデメリットがあります。
| 利用方法 | ①ローカル | ②クラウド（レンタル型） | ③クラウド（サービス型） |
|---|---|---|---|
| 概要 | 自分のPCにStable Diffusionをセットアップする | 借りたクラウドにStable Diffusionをセットアップする | すぐに使えるアプリやWebサービスとして利用する |
| メリット | 好きなだけ生成できる カスタマイズしやすい 長期的には低コスト | 初期コストを抑えられる 比較的カスタマイズしやすい | すぐに利用できる 初期コストがほぼかからない スマホからも利用可 |
| デメリット | 高性能なPCが必要 | セットアップが大変 クラウド利用料がかかる | カスタマイズがほぼできない サービス利用料がかかる |
それぞれの利用方法におすすめの人はこんな感じです。
- ローカル → ガンガン画像を生成したい、高性能なPCを用意できる
- クラウド（レンタル型） → 高性能なPCを用意するのが難しいけど、カスタマイズも楽しみたい
- クラウド（サービス型） → 今すぐに遊びたい
それぞれの利用方法の違いをもっと詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
NovelAIとは
Stable Diffusionの後を追うように2022年10月3日にリリースされたのが「NovelAI」です。
NovelAIはもともとAIで小説を生成できるサービスでしたが、このタイミングで「画像生成機能」が実装されました。
NovelAIの特徴は二次元美少女に強いことです。それまでも「Midjourney」など、AIでイラスト生成できるサービスはあったのですが、アニメ・漫画風のイラストの出来はイマイチでした。
そんな中で登場したNovelAIは、ハイクオリティーな二次元美少女・美男子を生成できることで大きな話題を呼びました。
私もこのNovelAIからAIイラストを始めました
その後もNovelAIは進化を続け、絵のクオリティもリリース当初と比べて大きく向上しています✨
にじジャーニーとは
「にじジャーニー」は、画像生成AIのさきがけとなった「Midjourney」をベースにしたサービスです。写実的な絵が得意なMidjourneyに対して、アニメ風の絵を得意とするのが「にじジャーニー」です。
にじジャーニーはさまざまな絵柄のイラストを生成でき、自分の好きなスタイルにカスタマイズする「パーソナライゼーション」や、絵柄を参照してコントロールする「スタイルリファレンス」など、より自分好みのイラストを生成するための機能が充実しています。
3つのサービスの比較
画像生成AIサービスを比較するには様々な観点がありますが、初心者にとって特に重要だと思われる「絵柄」「価格」「プロンプト入力」について見ていきましょう。
なお、「絵のクオリティ」については比較対象としません。いずれもハイクオリティであり甲乙をつけられないためです。
絵柄の比較
「アニメ系」と一言でいっても、リアリティが強い絵柄や、デフォルメテイストの絵柄など、さまざまな絵柄（スタイル、画風）があります。
Stable Diffusionは使用する「AIモデル」を切り替えることで多彩な絵柄を描き分けることができます。
たとえば以下に示した3種類のキャラクターイラストはいずれもモチーフは同じですが、「AIモデル」を変えることによって、絵柄を変えています。
Stable Diffusionの「AIモデル」は世界中の人が作成していて無料で公開されています。かわいい系、リアル系、綺麗系、アメコミ系などなど数千、数万種類もの多様なモデルがあるので、きっとあなた好みの絵柄を見つけることができるでしょう。
NovelAIはあまり絵柄を描き分けることができません。NovelAIにも「AIモデル」はありますが、V1→V2→V3→V4…というように基本的には一本道で進化しているので、最新バージョンが推奨モデルとなります。そのため、Stable Diffusionのように「描きたい絵柄によって自由にモデルを切り替える」ということはできません。
たとえば、「最新のV4モデルよりもV3モデルの絵柄の方が好みだからそちらを使う」ということはできます。しかし、古いモデルの場合、最新の機能が使えなかったりもするので、モデル選択の自由度という意味ではやや劣ります。
にじジャーニーも、NovelAIのように「v5」「v6」という大まかなAIモデルの流れがあり、基本的には最新バージョンが推奨されます。そのため、絵柄を変えるために「AIモデル」を切り替えるという使い方はあまりしません。
その代わり、にじジャーニーは多様な絵柄の画像を生成できるようになっていて、「パーソナライゼーション」や「スタイルリファレンス」という機能を使うことで、自分好みの絵柄で絵を生成できるように調整できます。
絵柄の多彩さで言えば、Stable Diffusion > にじジャーニー > NovelAI かなという気がします。
ただ、Stable Diffusionは公開されているモデルの数はとても多いのですが、似ている絵柄も多いので、むしろ「にじジャーニー」の方が絵柄の幅は大きいかも…という印象が個人的にはあります。
価格の比較
大ざっぱに言うと、「Stable Diffusion」をローカル（自分のPC）にダウンロードして使う場合は、高性能なPCさえあればあとは無料です。それ以外の場合は、月に数百円から数千円の利用料がかかります。
Stable Diffusionは利用形態によってコストが変わります。
「ローカル環境（自分のPC）」にダウンロードして動かすケースでは、高性能なグラフィックボードを備えたPCが必要になります。安くとも15万円ほどするでしょう。その代わり、後はいくら画像生成しても無料です。
一方、「クラウド環境」を利用するケースでは、初期コストはかかりませんが、クラウドのレンタル料やサービスの利用料が継続的にかかります。
「SeaArt」など一部のサービスでは枚数制限付きで無料利用できるものもあります。
もしすでに「ゲーミングPC」などを持っている場合は、ローカル環境で使うと一番コストは安く済みます
NovelAIは、有料プランのみで無料では利用できません。
料金は「サブスクリプション（月額課金）」と「必要な分だけ都度課金」の2つの方法があります。
「Opusプラン」は、月額25ドルで生成無制限となるので、ガッツリ画像生成したいという人にはオススメです。まずはお試しで使ってみたい場合は、4.79ドルで2000 Anlas購入してみるのも良いでしょう。
※「Anlas（アンラス）」はNovelAIのサービス通貨です。
にじジャーニーも、有料プランのみで無料では利用できません。
料金は「サブスクリプション」方式で、月にどれだけ画像が生成できるかによっていくつかのプランがあります。
「ウェブサイトで選べるプラン」と「モバイルアプリで選べるプラン」に微妙に違いがあり、料金も異なるため、ややわかりにくい印象を受けます。
詳しくはこちらの記事で解説しています。
プロンプト入力の比較
画像生成AIの基本入力は「プロンプト」です。そのためプロンプトの入力方法によって使い勝手が大きく変わります。着眼ポイントは2つです。
✅「英語」か「英語も日本語もOK」か
プロンプトは基本的は「英語」です。ただし、「日本語」のプロンプトにも対応しているものもあります。
✅「自然文形式」か「フレーズ形式」か
プロンプトは「黒髪ショートヘアで着物の女の子が紅葉が舞う公園に笑顔で立っている」のように「自然な文章」として入力できる形式と、「女の子、黒髪、ショートヘア、着物、笑顔、公園、紅葉」のようにフレーズ（タグ）を並べて入力する形式があります。
「Stable Diffsuion」は基本的には「英語」「フレーズ形式」です。（Japanese Stable Diffusion XLなど日本語に対応しているモデルも一部あります）
「NovelAI」も基本的には「英語」「フレーズ形式」ですが、「V4」以降のモデルでは「自然文形式」にも対応しています。
また、NovelAIには日本語補助機能があり、日本語で入力するとそれに対応する「英語」候補を表示してくれるという機能もあるので、英語が苦手でもある程度はなんとかなります。
「にじジャーニー」は「英語も日本語もOK」「自然文形式」です。「自然文形式」ですが「フレーズ形式」で入力しても問題はありません。
こうして比較すると、「にじジャーニー」がプロンプトとしてはもっとも入力しやすいと言えるかもしれませんね。
ただ、英語入力する場合でも特にアニメ系ではある程度フレーズが定型的なので、慣れてくると英語でもそれほど苦労はしません。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
おまけ：その他機能の比較
Stable Diffusion、NovelAI、にじジャーニーにはそれぞれユニークな機能がたくさんあり、この記事ではすべては書ききれませんが、その中のいくつかについてご紹介しておきます。
Stable Diffusionには「拡張機能」というものがあり、機能をアップグレードすることができます。たとえば、「ControlNet」という機能では、写真をもとにしてポーズを再現できる「Openpose」などがあります。
NovelAIは、複数のキャラクターを描き分けることができる「マルチキャラクタープロンプト」が便利です。
また、「ディレクターツール」はアーティストの創作活動を便利にする画像加工ツールセットです。
このツールを使えば、まるでディレクター（監督）のようにAIに絵の加工を指示することができます。
「背景の除去」「線画抽出」「カラー化」「表情差分」などの機能でさまざまな加工を施すことができます。
「にじジャーニー」は「パーソナライゼーション」「スタイルリファレンス」といった機能で、自分好みの絵柄を狙うことができるのが楽しいですね。
それぞれに魅力があるんだね♪
筆者のオススメは「NovelAI」
さて、ここまで「絵柄」「コスト」「プロンプト入力」という観点で3つのサービスを比較してきました。あなたにピッタリのサービスは見つかりましたか？
何を重視するかは人それぞれだとは思いますが、これからAIイラストを始めてみたい初心者の人であれば、私は「NovelAI」をオススメします✨
- 「都度課金」で気軽に始められる（約700円～）
- 複数のキャラクターを描きやすい
- プロンプトの入力補助があるので入力しやすい
- 利用者が多いのでノウハウを得やすい
- 機能開発が活発
次回以降の講義では、この「NovelAI」を使ったAIイラストについて学んでいきます😊
もっとじっくり比べたいなら
「Stable Diffusion」「NovelAI」「にじジャーニー」のことをもっと知ってじっくり比べたいなら、こちらの記事を参考にしてみてください。
はやく「NovelAI」で遊んでみたいな♪
では次回はNovelAIで「AIイラスト」を描いてみましょう
プロンプトを打つだけで驚きのイラストが完成！NovelAIの魅力と使い方、スタートガイドを優しく解説します♪
【6/13公開予定】第5回：NovelAIではじめての一枚！かんたん＆高画質の入門編
コメント