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【Stable Diffusion】絵を部分修正できるinpaintの使い方を解説

Stable Diffusionのinpaintを解説
この記事は約6分で読めます。
らん
らん

この絵のここだけを修正したいんだけどな…

るん
るん

インペイントで一部分だけ修正できます!

「この絵のここだけを修正したい!」
AIイラストを描いていると、そう思うことも多いですよね。

AIイラストは出来栄えが「運」によるところも大きく、「顔は最高なんだけど、服がいまいち」とか「背景に余計なものが描かれている…」など、絵の一部分がイマイチということも多いです。

そんなときに役立つのが「inpaint(インペイント)」という機能です。
inpaintは絵の一部分だけを修正することができるので、良い部分はそのままにして、ダメな部分だけを再描画することができます。

この記事はこんな人におすすめ
  • 絵の一部(手や服装、表情)だけを修正したい
  • 絵の中の不要なものだけを消したい

本記事では、Stable Diffusion Web UI (AUTOMATIC1111)でのinpaintの使い方とコツについて解説します。

inpaintとは

inpaint(インペイント)とは、絵の一部分だけを描き直す機能です。

[Stable Diffusion] inpaintで髪型を変更
inpaintで髪型を変更

基本の使い方

inpaintでは絵の一部を変更できますが、大きく言うと「変える」と「消す」の2つのことができます。

inpaintの機能は「変える」と「消す」
  • 変える:絵の一部分を別のものに変える
  • 消す:絵の中の不要なものを削除する

inpaintにはさまざまな詳細設定がありますが、本記事で解説している項目以外の設定は気にしなくてもほとんど問題ありません。
そのため、初心者の人へのわかりやすさを優先して、それらの設定は解説を割愛しています。

絵の一部を「変える」

[Stable Diffusion] inpaintでイヌをウサギに変更
inpaintでイヌをウサギに変更

inpaintでは絵の一部分を別のものに変えることができます。

この絵では、女の子がだっこしている「イヌ」を「ウサギ」に変えています。他の部分はほとんど変わっていませんね。

それでは、Stable Diffusion Web UI (AUTOMATIC1111)での具体的な方法を解説していきます。

手順

inpaintはimg2imgの一種なので、img2imgのタブから実行します。
img2imgで「Inpaint」を選択して、画像をアップロードしましょう。

[Stable Diffusion WebUI] inpaintで画像をアップロード
画像をアップロード

モデル(チェックポイント)を選択します。この際、元画像のモデルと同じモデルにしておいた方がinpaintで描き直した部分と自然に馴染みます。

Stable Diffusion WebUI - img2imgのチェックポイント選択
モデル(チェックポイント)を選択

inpaintで変更したい部分をブラシで塗りつぶします。今回は「イヌ」の部分を塗りつぶしました。
あまり厳密になぞる必要はなく、はみ出るくらいでOKです。

[Stable Diffusion WebUI] inpaintでマスク

そして、inpaintで変更する部分に関してプロンプトを入力します。
今回は「イヌ」を「ウサギ」に変えたいので、以下のように指定します。

プロンプト

rabbit

「Masked content」を「original」に設定します。

[Stable Diffusion WebUI] inpaintのMasked content設定
Masked contentをoriginalに設定

元画像と同じサイズで出力するのであれば、「Resize by」でScaleを「1」に設定しておきます。

[Stable Diffusion WebUI] inpaintのResize

Denoising strengthを設定します。これはどれだけ下絵から離れた絵を生成するかの度合いと考えればよいです。
値が小さいほど元絵に近く、値が大きいほど元絵から離れた絵になります。

画像によって適切な値は変わるので、小さめの値(0.1~0.3くらい)から試してみて、結果を見ながらだんだん大きな値に調整していくとよいでしょう。

Stable Diffusion WebUI - img2imgのDenoising strength

ここまで設定できたら「Generate」をクリックして、画像を生成します。

inpaintでイヌをウサギに変更した画像
inpaintで生成した画像

不要なモノを「消す」

[Stable Diffusion] inpaintで校章を消す
inpaintで校章を消す

inpaintでは、絵の中の不要なものを消すことができます。

この絵では、「胸元の校章」を消しています。

手順

手順は前述した「絵の一部を変える」場合と同じです。

一点だけ注意が必要なのはMasked contentは「fill」を設定することです。「fill」にすることでインペイント領域の周辺の色で塗りつぶしてくれます。
私も最初ハマってしまったのですが、「original」に設定してしまうと、元画像をなるべく保とうとするので消えてくれません。

Masked content
マスクした領域をどのように描画するのかの設定です。

fill周囲の色で塗りつぶす
original元の画像をベースにして再描画する
latent noiseノイズで再描画する
latent nothing単色で塗りつぶす
Masked contentの設定

使い方としては、「変える」ときには「original」、「消す」ときには「fill」で良いと思います。
※「latent noise」「latent nothing」はどのようなときに使うものなのか、筆者にはよくわかりません…。

実例

inpaint機能を使った実際の活用例を紹介します。

服装だけを変える

[Stable Diffusion] inpaintで服装を変更
服装を変える

inpaintでキャラの服装だけを変えることができます。

服装に関するプロンプト(呪文)はこちらを参考にしてみてください。

表情だけを変える

[Stable Diffusion] inpaintで表情を変更
表情を変える

inpaintでキャラの表情を変えることができます。
ゲームの立ち絵などで「表情差分」を作るときに便利です。

表情に関するプロンプト(呪文)はこちらを参考にしてみてください。

おかしな手を変える

[Stable Diffusion] inpaintで手を修正
手を修正する

AIイラストでは手がおかしくなってしまうことがよくあります。inpaintを使うと、手だけを修正することができます。
ただし、手の描画はもともと難易度が高いため、inpaintで再生成してもなかなかうまくいきません。

るん
るん

手に関しては、何度も何度も再生成する覚悟が必要です

それでも修正できないときは…

インペイントは便利な機能ですが、場合によってはどうしてもうまく修正できないときもあります。

そんなときは「ペイントソフト」と「ペンタブレット」を使って手作業で修正するという方法があります。

イチから絵を描くのは大変ですが、部分的に絵を修正するのであれば、特別なスキルは必要ありません。近日、記事にまとめて公開予定です。

まとめ

「絵のここだけを修正したい」というときには、Stable Diffusionの【inpaint(インペイント)】が役立ちます。
絵の一部分だけを変更したり、余計なモノを消したりすることができます。

この機能を活用すれば、キャラの髪型や表情、服装だけを変更したり、背景だけを変更したりできるので、より思い通りの絵を効率的に生成できるようになります。

らん
らん

絵の最後の仕上げにも役立ちそう♪

るん
るん

絵のクオリティをアップさせるのに必須の機能ですね!

絵の周囲に描き足したいときは「アウトペインティング」という機能が役立ちます。
一部分ではなく、全体を修正したいならimg2imgを活用するとよいでしょう。

✅大量のAIイラストの管理に困ったら…

私も愛用している「Eagle」という画像管理ソフトを使うと、大量のAIイラストをスマートに管理することができます。特にStable DiffusionにはEagleと連携する拡張機能があって相性バツグンです!

プロフィール
この記事を書いた人
千鳥 るん | Chidori Run

画像生成AIで思い通りのイラストを描くためのノウハウを試行錯誤で模索しています。IT企業でAI戦略に関わっていたこともあるAIエンジニアです。大学生の頃から趣味でイラストを描いていましたが、仕事が忙しくなり一旦筆を置きました。最近、NovelAIと出会ってまたお絵描きへの情熱を取り戻しています。

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コメント

  1. たけっち より:

    Latent noiseを使う時は、Denoising strengthを1.0にすると、
    ノイズを完全に除去して全く別の画像を書き出してくれるみたいです。

    ともあれ、不要物が消せなくて困っています。
    キャラクターのウエストと背景との境目の、不自然な肉を消したいのに
    全然消えないか、クリーチャーが勝手に描画されますw

    • 千鳥 るん | Chidori Run 千鳥 るん | Chidori Run より:

      なるほど!Latent noiseの謎が解けました(^^)

      確かにいくらinpaintをやっても消えてくれないときがありますね…
      そこ以外は最高なのに…っていうときはホントくやしいですw

  2. pen より:

    とても参考になりました。
    ペイントソフト」と「ペンタブレット」を使って手作業で修正するという方法はまだ記事にされないのでしょうか?
    とても気になります。

    • 千鳥 るん | Chidori Run 千鳥 るん | Chidori Run より:

      コメントありがとうございます!
      手作業での修正方法については現在鋭意執筆中ですのでもう少々お待ちくださいませ(^^)